2009年1月「細菌性髄膜炎とHibワクチン」


           Hibワクチンはインフルエンザ菌による細菌性髄膜炎を
           予防するワクチンです。WHOの推奨もあり現在は世界
           100カ国以上で導入され、多くの国では定期接種に組み
           込まれ公費で接種されています。日本では平成20年
           12月19に発売され、任意接種(自費)で接種ができる
           ようになりました。

           Hibは「ヒブ」と読みます。ヘモフィルス・インフルエンザb
           型菌(Haemophilus influenzae type b)という細菌の略語で、
           頭文字をとってHibと記します。小児ではHibによる細菌
           性髄膜炎がその病状の重さから問題になっています。

           冬に流行するインフルエンザとは全く異なります。インフ
           ルエンザはウイルスで、Hib(インフルエンザ菌b型)は細
           菌です。
           Hibの名前の由来は、ウイルスの検査ができなかった頃、
           インフルエンザ(流感)の患者さんから見つかり、当時で、
           インフルエンザの原因菌と考えられたためこのような名前
           がつきました。

           Hib髄膜炎とはHib(ヘモフィルス・インフルエンザb型菌)
           による細菌性髄膜炎のことです。
           細菌性髄膜炎は以前は脳膜炎といわれ、脊髄や脳を守る
           膜(髄膜)に細菌が感染し、発熱・嘔吐・頭痛(不機嫌)など
           を主な症状とする重篤な病気です。死に至ることも多く、生
           存し得ても様々な後遺症を残す可能性がある怖い病気です。
           6割がHib,3割が肺炎球菌が原因です。年間1000人の子ど
           もが罹患し、5%が死亡、25%が後遺症を残すといわれて
           います。その中でも、Hibによる髄膜炎は病状が重く後遺症
           を残す頻度も高いことで知られています。罹りやすい年齢は
           0歳(生後4ヶ月頃)から2歳までです。4歳を超えると罹患
           率は減ってきます。

            定期接種としてインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンを接種
            しているアメリカでは、ワクチン導入前は、5歳未満人口10
           万人あたり年間25人といわれたインフルエンザ菌b型(Hib)
           髄膜炎の発症数が、ワクチン導入後はほぼ0になりました。
           非常に有効性の高いワクチンと考えられており、WHOでも
           定期接種を行うことを推奨しています。

           Hib(インフルエンザ菌b型)ワクチンは、2ヶ月から接種する
           お子さんには3回+1年後に1回、合計4回接種します。
           ジフテリア・破傷風・百日咳三種混合ワクチン(DTP)と同じ
           スケジュールです。DTPとHibを両方接種すると、接種回数
           が多くなり接種しにくくなるため、外国ではDTPとHibは同じ
           日に同時接種されています。
           今回日本で導入されるHibワクチンは日本で初めて同時接
           種が認められたワクチンです。
           また、Hibワクチンは接種を開始する年齢によって接種回数
           が異なるのが特徴です。

                 2ヶ月以上7ヶ月未満・・初回3回+追加1回
                 7ヶ月以上 1歳未満・・初回2回+追加1回
                 1歳以上 5歳未満・・1回のみ

           簡単にまとめると、Hibワクチンの副反応は、半分くらいの人
           は接種部位が赤くなり、5人に1人は腫れ・しこりが見られます。
           また、50人に1人は熱が出ます。更に、予防接種ですから当
           然、特異体質の方はショックなどの重い副作用が予想されま
           すが、まれです。

           Hibワクチンは世界120カ国以上で公費による定期接種と
           して接種されていますが、日本では導入当初は任意接種と
           して開始されます。そのため、自費で接種しなくてはなりません。
           今後、わが国でもワクチン接種により確実にHib髄膜炎が減
           少することが実証されれば、いつの日か定期接種に組み入
           れられる事になるでしょう。
           厚労省では定期接種に向けてワクチンの有用性などを検討
           する研究班の設置を予定しています。
           (小泉重田小児科HPを参考にしました)

           接種計画、費用などについての詳細は各医療機関にお問い
           合わせください。