現在松山市内では高校に引き続き、中学校でも麻しんの患者さんが出現しました。以下東京
衛研からの情報です。
【麻しんとは】
麻しんは麻しんウイルスによって引き起こされる感染症で、発熱や咳、鼻水といった風邪のよう
な症状と発しんが現れます。肺炎、脳炎といった重い合併症を発症することもあります。
感染経路は、空気感染、飛沫感染が主で、免疫を持っていない人が感染すると90%以上が発
症します。 従来小児期に感染することが多かったのですが、最近は10代、20代以上での感染 が多く見られ、大学を含めて学校閉鎖が相次ぐなど、社会的にも問題となっています。
【麻しんの症状は】
典型的な麻しんの症状とは、1)発熱、2)全身性発しん、3)咳、鼻水、目の充血などの粘膜症状
(かぜ症状)が揃ったものを指します。
感染の約10日後に、38℃程度の発熱やかぜ症状がはじまり、2〜3日発熱が続いたあと、39℃
以上の高熱とともに発しんが出現します。(発しんの出現する前後1〜2日には、ほほの粘膜 に、コプリック斑と呼ばれる小さな白色の斑点が観察されることがあります)
全身の免疫力が低下するため、肺炎、中耳炎などを合併することがあり、脳炎を発症すること
もあります。合併症がなければ、主な症状は7〜10日経てば回復しますが、免疫力の回復には 1ヶ月程度を要するといわれ、それまでは他の感染症にかからないよう十分な注意が必要にな ります。
最近、一度ワクチン接種を受けた人の中から、典型的な症状が揃わない麻しんが報告されるこ
ろが多くなり、これを修飾麻しんといいます。接種後に麻しんウイルスにさらされる機会がない ために、次第に免疫力が低下していったのが、ワクチン接種をしているのに発症する理由で す。
【麻しんの合併症は】
麻しんにはさまざまな合併症がみられます。肺炎や頻度は低いものの(麻しん1000〜2000例に
1例)脳炎の合併があり、この二つは麻しんによる二大死因となっています。
他の合併症としては、中耳炎、クループ、心筋炎など。(クループとは、のどの喉頭という部分
の炎症で、ゼイゼイしたり、呼吸困難になったりします。)
ごく稀ですが、麻しんにかかってから7〜10年後、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)を発症すること
があります。知能障害、運動障害が徐々に進行し、発症から平均6〜9ヶ月で死に至る病気で す。麻しん患者の10万人に1人がSSPEを発症するとされています。SSPEは麻しんワクチン接種 後にも起こる場合がありますが、接種者100万人〜200万人に1人の割合といわれています。
【麻しんの感染経路、感染力は】
主に空気感染をし、飛沫感染、接触感染をすることもあります。感染力はきわめて強く、感染し
た人の90%以上が発症します。また、周りの人に麻しんの免疫がない場合には、1人の発症者 から、12〜14人の人が感染するとされています(インフルエンザでは1〜2人)。
周りへ感染させる期間は、症状の出現する1日前(発しん出現の3〜5日前)から発しん消失後4
日くらいまで(または解熱後3日くらいまで)とされます。
1才の誕生日から1年間を1期、小学校に入る前の1年間を2期としてMR(麻しん風しん混合)
ワクチンを接種することになっていますが、なるべく早めに接種するようにしましょう。 |