2007年6月 「溶連菌感染症ってなに?」

             溶連菌感染症というのは、A群β溶血性連鎖球菌(略して溶連菌)
             という細菌の感染によって起こる病気の総称です。溶連菌自体は
             ありふれた細菌のひとつです。一般的に赤ちゃんが感染することは
             比較的少なく、感染したり発症したりするのは幼児や学童が中心です。
             大人でも感染します。また繰り返し感染しますので、1回罹ったら大丈
             夫という訳ではありません。潜伏期間は2〜4日です。飛沫感染(イン
             フルエンザのように)で広まります。
             感染期間は発症前1週間から1〜3ヶ月(無治療の場合)です。

             【症状】
             はじめはのどの痛みと急な発熱で発症します。高熱になることが多く、
             のどを見ると扁桃腺やのどちんこなどが真っ赤にはれています。吐き
             気、頭痛、腹痛、筋肉痛などを訴えることもありますが、いわゆる鼻水
             や咳などの風邪症状が目立つことは少ないようです。頚部のリンパ腺
             が腫れたり、中耳炎を起こすこともあります。その後、小さな発疹が出
             現してきますが、出方は様々です。かゆみを伴うことがあります。また舌
             は最初は白い苔に覆われたようになっていますが、3〜4日すると苺の
             ようにブツブツとなる(苺舌)のが特徴です。

             【診断】
             特有な症状で判断できますが、小さな子どもさんでは単なる風邪症状で
             経過することも少なくないので診断に注意を要します。綿棒でのどをこす
             って行なう迅速検査では15分で診断できますので便利です。ただし100
             %確実なものではありません。

             【治療】
             ペニシリン系、またはマクロライド系の薬を用います。薬を飲み始めると
             1〜2日で熱が下がります。でもここで治療を中断すると再発したり、次に
             挙げる合併症を起しやすくなるので、医師の指示通りに内服を続けてくだ
             さい(通常10〜14日間)。

             【合併症】
             急性糸球体腎炎(むくみや高血圧、将来の慢性腎炎の原因にもなりえま
す)、
             リウマチ熱(心臓に影響を与えます)などがあります。通常治った後、3週
             間から1ヶ月後に検尿を行なって腎炎の有無を確認します。

             【その他】
             治療を開始して熱も下がり、全身状態がよくなれば登園は構いませんが、
             主治医に相談してください。